内視鏡検査で使う鎮静剤について
内視鏡検査では、のどの違和感や緊張を和らげて、できるだけ楽に受けていただけるよう鎮静剤(ちんせいざい)を使用することがあります。
- 静脈から注射するお薬で、うとうとしたリラックス状態になります。
- 完全に眠る「全身麻酔」ではありません。検査中の記憶が残らない方もいます。
- 呼吸や心拍は自分で保てる範囲で行います。心電図や酸素モニターなどで安全管理を徹底しています。
全身麻酔との違い
鎮静剤 | 全身麻酔 | |
意識 | うとうとする程度 | 完全に眠る |
呼吸 | 自分でできる | 人工呼吸が必要 |
実施場所 | クリニックでも可能 | 原則、手術室など専用設備 |
リスク | 比較的低い | 麻酔科医管理が必要 |
つまり、内視鏡で使う鎮静剤は全身麻酔ではありません!
鎮静剤のメリット
- 緊張や不安がほぐれて、検査が楽に受けられる
- 苦痛が少なく、「また受けよう」と思いやすい
鎮静剤を使うときの注意点
- 検査後は1時間ほど休んでから帰宅します
- 当日は車・自転車・バイクの運転は禁止
- 高齢者や持病がある方は、呼吸や血圧に影響が出る場合がありますがモニターで管理します
- 帰宅後の転倒に注意
当クリニックの鎮静への考え方
患者さん一人ひとりに合わせて、「安全かつ、できるだけ楽に」受けられるよう、深すぎず浅すぎない適度な鎮静を心がけています。安心してご相談ください。
当クリニックの内視鏡検査の特徴
- 経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ)を推奨(通常、鎮静剤は不要)
- 経口挿入時は希望がある場合は鎮静剤を使用します
- 大腸カメラは鎮静剤+鎮痛剤併用で苦痛を最小化します
- 必要に応じて鎮静剤の拮抗薬を使用し、帰宅後の安全を確保
- 鎮静に使う薬の種類や量はカルテに記録し、次回以降に反映します
安全性と学会ガイドライン
- 適切な鎮静深度は「中等度鎮静」、呼びかけに反応可能なレベルを維持します
- 鎮静に関連する重篤な偶発症はまれ(0.0028%)ですが、しっかり管理し安全性を最優先しています
- 検査中はRamsayスコアを目安にし、スコア2~3程度の鎮静を心がけています
Ramsayスコアの評価基準
- 覚醒しており、興奮しているか落ち着きがない、またはその両方
- 覚醒しており、協力的で見当識があり、落ち着いている
- 覚醒しているが、指示にのみ反応する
- 眠っているが、眉間を軽くたたくか大きな聴覚刺激を与えると素早く反応
- 眠っているが、眉間を軽くたたくか大きな聴覚刺激を与えるとゆっくり反応
- 眠っており、眉間をたたいても大きな聴覚刺激にも反応しない
適度な鎮静のメリット・デメリット
メリット
- 不安や痛みを感じにくい
- 鎮静をしていても呼吸が安定して安全
- 鎮静下でも体位変換など検査協力も可能
- 検査後の回復が早い
深すぎると起こること
- 呼吸や血圧が低下する
- 回復に時間がかかる
- 高齢・持病の方はリスクが増す、帰宅後の転倒リスクも上昇
当クリニックの安心サポート
- 内視鏡専門医・指導医が検査を担当
- 内視鏡認定技師が在籍
- CTやエコーも対応可能で、必要に応じて総合的な検査を提案します
- 内視鏡で異常がなかった方も、症状相談や治療を続けますのでご安心ください!
最後に
当クリニックでは、患者さんの安全と安心を第一に、「適切な鎮静で、楽に、そして確実に検査ができる」ことを目指しています。不安なことがあれば遠慮なくお尋ねください!