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閉鎖孔ヘルニア


当院での診療経過

  • 80代女性
  • 初診数日前から嘔吐・腹痛・右大腿前面(太ももの前側)の痛みあり、近医で坐骨神経痛と言われ対症療法。食べなければ何ともないが、食べると吐いてしまうと当院に相談初診。
  • 高齢やせ型女性、問診が典型的でほとんど診断確定。レントゲンで腸閉塞あり、CTで閉鎖孔ヘルニアありと確認。

→総合病院に紹介。

閉鎖孔ヘルニアってなに?

閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の「閉鎖孔」という穴を通って腸がはみ出してしまう病気です(いわゆる脱腸の一種)。
比較的まれですが、特に高齢でやせた女性に多いのが特徴です。
腸閉塞を起こして重症化しやすく、外科的治療が必要になることが多い疾患です。
腸閉塞があることまでは診断は容易ですが、原因の診断は疑わないとできません。

どうして起こるの?

骨盤の筋肉や靱帯が加齢や体重減少でゆるみ、閉鎖孔が広がることで起こります。
次のような人でリスクが高いとされます:
  • 高齢女性(特にやせ型、出産回数が多い)
  • 栄養状態不良(低栄養、サルコペニア)
  • 腹圧がかかりやすい状態(慢性咳嗽、便秘など)

どんな症状が出るの?

  • 腸閉塞症状(最も多い)
    ・腹痛、嘔吐、腹部膨満、便やガスが出ない
  • 大腿内側の痛み(Howship–Romberg徴候)
    ・ヘルニアで圧迫された閉鎖神経による放散痛
    ・太ももの内側から膝にかけての痛み
  • ⚠️ 腸が締め付けられて血流障害になると、腸壊死や穿孔に進展する危険あり

どうやって診断するの?

  • 問診・診察→レントゲンで腸閉塞を確認
  • エコーやCT検査
    ・骨盤部の閉鎖孔に腸管が入り込んでいる像を確認
  • 身体所見
    ・Howship–Romberg徴候(大腿内側痛)
    ・まれに大腿部に膨隆を触れることも
  • レントゲン・エコーでは腸閉塞の診断は容易だが原因の診断は難しいことがある

治療はどうするの?

原則:手術が必要
  • 嵌頓(はまり込んだ)腸管を戻し、壊死があれば切除+吻合
  • ヘルニア門(閉鎖孔)を縫縮やメッシュで閉鎖

保存的治療は基本的に不可なことが多い
  • 経過観察すると腸壊死・穿孔の危険が高いため、外科紹介が基本的に必須

📝まとめ

項目 内容
病名
閉鎖孔ヘルニア
特徴 高齢やせ女性に多い、まれだが重症化しやすい
主な症状 腸閉塞症状、Howship–Romberg徴候(大腿内側痛)
診断 CTで腸管の閉鎖孔への嵌頓を確認
治療 外科的治療が原則(壊死あれば腸切除)

患者さんへの注意点

閉鎖孔ヘルニアは珍しい病気ですが、高齢でやせた女性に多く、腸閉塞の原因となります
「急な腹痛・嘔吐がある」「太ももの内側に響くような痛みがある」ときは、ただの便秘や胃腸炎と思わず、早めに病院で検査を受けることが大切です。
手術で治す必要があることの多い病気なので、症状が落ち着いていれば通常の受診、強い時は救急受診をしてください。