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トップページ >  当院で経験した疾患について >  SPIDDM(緩徐進行1型糖尿病)

SPIDDM(緩徐進行1型糖尿病)


当院での診療経過

  • 40代男性、当院に別の理由で3か月ごと通院中
  • 無症状、健診採血で血糖値やや上昇で相談あり(HbA1c5.9、空腹時血糖120)、もともとは正常範囲、境界型糖尿病の診断で生活指導し3か月後に採血、HbA1c7,6と急上昇あり
  • 短期間での糖尿病の悪化あり、腹部エコーで膵がん検索、特に問題なし
  • 急な悪化の為インスリン分泌能の検査を施行。抗GAD抗体陽性(1型糖尿病に陽性の抗体)、インスリン分泌低値を確認(血糖上昇あり通常インスリン分泌は上昇する)

→以上の経過から、SPIDDM(緩徐進行1型糖尿病)と診断し今後インスリン治療を要すると判断し糖尿病・内分泌科に紹介。

SPIDDM(緩徐進行1型糖尿病)ってなに?

SPIDDMとは、Slowly Progressive Insulin-Dependent Diabetes Mellitusの略で、日本語では「緩やかに進行する1型糖尿病」と呼ばれます。
ふつう「1型糖尿病」といえば、子どもや若い人に多く、急にインスリンが出なくなって発症するタイプが知られていますが、
SPIDDMは大人になってからゆっくりと進行するタイプの1型糖尿病です。

どうして起きるの?

体の中で自分の免疫が膵臓の細胞(インスリンを作るβ細胞)をじわじわと壊してしまうことが原因です。
これは自己免疫反応と呼ばれ、原因ははっきりとは分かっていませんが、体質やウイルス感染などが関係していると言われています。

特徴は?

SPIDDMは最初、「2型糖尿病」と見分けがつきにくいのが特徴です。
特徴 内容
年齢
主に中高年に発症します(40〜60代が多い)
体型 太っていない人も多い
経過 最初は食事・薬でコントロールできるが、数年以内にインスリンが必要になる
検査 血液検査でGAD抗体などの自己抗体が陽性になることがあります

どんな症状が出るの?

最初は自覚症状がほとんどなく、健康診断などで血糖値の異常を指摘されて気づくことが多いです。
進行すると以下のような症状が現れることがあります、糖尿病の悪化症状です
  • のどが渇く、トイレが近い
  • 急な体重減少
  • 疲れやすい

どうやって診断するの?

  • 血糖値・HbA1c(ここ1-2か月の血糖の平均値)の測定
  • 自己抗体検査(GAD抗体など)
  • インスリン分泌量の検査(CPR:Cペプチド)

これらを組み合わせて、「ゆっくり進行する1型糖尿病」かどうかを見極めます。

治療はどうするの?

見出しが入ります

はじめは2型糖尿病と同じように、食事・運動療法や内服薬で血糖をコントロールすることもありますが(診断できずに内服薬で治療しているケースが多い)、時間がたつとインスリンを分泌する力が低下してくるため、いずれはインスリン治療が必要になります
大切なのは、
  • 無理に薬を引き延ばすことなく、タイミングよくインスリンを始めること
  • 自己判断で治療を中断しないこと
です。

まとめ

  • SPIDDMは、大人になってからゆっくり進行する「1型糖尿病」の一種です
  • 最初は2型糖尿病とよく似ていますが、数年以内にインスリン治療が必要になります
  • 自己抗体検査などで見分けがつきます
  • 早めに気づいて、適切な治療をすることで、合併症を防ぐことができます

しっかり健診を受けていて、ずっと別の理由で通院していたため早期に対応ができました。急激な糖尿病の悪化は、膵臓がんの発症やインスリン分泌の急な低下、治療の自己中断などでよく見られます。ちなみに、開院以来当院では2名診断しています。病院で消化器内科医をしていた時には診断済みの方にしか出会ったことがありませんでしたが、意外といるものなんですね。

「2型糖尿病と言われたけど、なかなか薬が効かない」
「痩せてるのに血糖値がどんどん悪くなる」
そんな方は、一度SPIDDMの可能性を考えてみる必要があるかもしれません。
ご自身にあった治療を一緒に考えていきましょう。