腹痛について
腹痛の裏にある“意外な”原因とは?
腹痛で来院される患者さんは非常に多く、急性の痛みから、何か月〜何年も続く慢性的な症状までさまざまです。当院には、小児から高齢の方まで幅広い年齢層の方が来院され、日々いろいろなケースに出会います。
総合病院の消化器内科に勤務していた頃は急性疾患が中心で、慢性疾患といえば“がん”などの悪性腫瘍が主でした。開業してみると、来院される患者さんの症状も疾患も大きく異なり、「腹痛」という一つの訴えにも実に多様な背景があると日々感じています。
総合病院の消化器内科に勤務していた頃は急性疾患が中心で、慢性疾患といえば“がん”などの悪性腫瘍が主でした。開業してみると、来院される患者さんの症状も疾患も大きく異なり、「腹痛」という一つの訴えにも実に多様な背景があると日々感じています。
急性の腹痛 ― 実は“何でもあり”
急な腹痛の原因は本当に多彩です。
嘔吐下痢症・虫垂炎・憩室炎などの消化管の疾患、血便で発症の虚血性大腸炎、胃アニサキス症(内視鏡的に摘除)、胆のう炎・胆管炎・急性膵炎などの消化器疾患(多くは総合病院に紹介)も多く出会います。女性では婦人科疾患、泌尿器系では尿管結石もよく来院されます。腹膜垂炎・閉鎖孔ヘルニア・ヌック管水腫・小腸リンパ腫、なんていうやや珍しい疾患から一般的には馴染みのないような診断をすることもしばしばです、自分が何科なのか分からなくなります(笑)。
「みぞおちが痛い」という主訴で受診され心筋梗塞が見つかった方、実はすでに1年半で2回経験しています。「心筋梗塞=救急車」というイメージがあるかもしれませんね、私もそうでした。消化器内科の看板を掲げていると、こうした出会いが時々あります。私も冷や汗モノですが、患者さんは重症で大変です、見逃さなくて本当によかったと思います。
嘔吐下痢症・虫垂炎・憩室炎などの消化管の疾患、血便で発症の虚血性大腸炎、胃アニサキス症(内視鏡的に摘除)、胆のう炎・胆管炎・急性膵炎などの消化器疾患(多くは総合病院に紹介)も多く出会います。女性では婦人科疾患、泌尿器系では尿管結石もよく来院されます。腹膜垂炎・閉鎖孔ヘルニア・ヌック管水腫・小腸リンパ腫、なんていうやや珍しい疾患から一般的には馴染みのないような診断をすることもしばしばです、自分が何科なのか分からなくなります(笑)。
「みぞおちが痛い」という主訴で受診され心筋梗塞が見つかった方、実はすでに1年半で2回経験しています。「心筋梗塞=救急車」というイメージがあるかもしれませんね、私もそうでした。消化器内科の看板を掲げていると、こうした出会いが時々あります。私も冷や汗モノですが、患者さんは重症で大変です、見逃さなくて本当によかったと思います。
感染性大腸炎、実は多いです
開業して驚いたのが、感染性大腸炎の多さです。
正直、「感染性大腸炎ってこんなに多かったっけ?」と驚きました、総合病院勤務医時代よりはるかに多く診断しています。基本的にはほぼ全員当院で治療、改善しています。
私は「胃腸炎」という言葉・診断があまり好きではありません。「どこからどこまでの炎症? 、悪いのは胃?小腸?大腸?」とモヤっとしてしまいます。胃から大腸までは数メートル、部位によって治療も異なります。病院勤務時代には、研修医や若手の先生方に「どこに炎症があるか、しっかり考えて診断しよう」と指導してきました。
当院では、問診と診察からある程度の部位診断を行い、必要に応じて腹部エコーで最終判断しています。CTが必要なこともありますが、多くはエコーと臨床経過の組み合わせで十分判断できます。CTは「出血」「通過障害(腸閉塞など)」の可能性がある時に使用しており、被ばくもあるのでむやみに撮るものではないと考えています。それならCT導入するな、と言われそうですが、きちんと適応を選んで使っています、何でもCTは間違いです。CTを撮れば何でもわかると思っている方も多いですがそれも間違いです、CTを撮る前に予想されていない疾患が見つかるのはたまたま見つかる無症状の腫瘍くらいと思っています。
便培養も、狙いを定めて提出しています。当院の便培養検査の菌陽性率は90%以上。やみくもに「下痢=便培養」とはしていません。「下痢=抗生剤」も間違いです、必要な時だけ抗生剤処方としています。
- カンピロバクター腸炎:1年半で30名程度
- サルモネラ腸炎:数名
- エルシニア腸炎:1名
- エロモナスによる出血性腸炎:1名
- クロストリジウム・ディフィシル菌による偽膜性腸炎:1名
正直、「感染性大腸炎ってこんなに多かったっけ?」と驚きました、総合病院勤務医時代よりはるかに多く診断しています。基本的にはほぼ全員当院で治療、改善しています。
私は「胃腸炎」という言葉・診断があまり好きではありません。「どこからどこまでの炎症? 、悪いのは胃?小腸?大腸?」とモヤっとしてしまいます。胃から大腸までは数メートル、部位によって治療も異なります。病院勤務時代には、研修医や若手の先生方に「どこに炎症があるか、しっかり考えて診断しよう」と指導してきました。
当院では、問診と診察からある程度の部位診断を行い、必要に応じて腹部エコーで最終判断しています。CTが必要なこともありますが、多くはエコーと臨床経過の組み合わせで十分判断できます。CTは「出血」「通過障害(腸閉塞など)」の可能性がある時に使用しており、被ばくもあるのでむやみに撮るものではないと考えています。それならCT導入するな、と言われそうですが、きちんと適応を選んで使っています、何でもCTは間違いです。CTを撮れば何でもわかると思っている方も多いですがそれも間違いです、CTを撮る前に予想されていない疾患が見つかるのはたまたま見つかる無症状の腫瘍くらいと思っています。
便培養も、狙いを定めて提出しています。当院の便培養検査の菌陽性率は90%以上。やみくもに「下痢=便培養」とはしていません。「下痢=抗生剤」も間違いです、必要な時だけ抗生剤処方としています。
慢性の腹痛 ― 実は“便秘”が原因のことが多い
慢性的な腹痛の原因として、便秘が関係しているケースは非常に多いとされています。
一般的にはこの程度と言われています。実際、私の開業後の実感としては「それ以上では?」と思っています。特に小児の慢性の腹痛は便秘が非常に多いと思います。
中には便秘の自覚がない方も多く、
「下痢だと思っていた」→ 実は硬便のすき間から少量ずつ出ていただけだった
「下痢止めを飲んだら余計につらくなった」→ 便秘を悪化させていた、というケースも少なくありません。
診察時に「問診・診察上は便秘でしょうね」と説明しても、なかなか納得されないことも多く、そんなとき活躍するのが腹部エコー。
当院のエコー技師は凄腕です。便秘以外に異常はない?とエコー検査を依頼すると(すでに便秘であることは確信しているのですが)、便の貯留部位から硬さまで確認してくれます(これが“便秘エコー”の面白さ…と感じているのは、たぶん私と技師だけです(笑))。
また、大人で排便状況の急な変化や出血がある方には大腸内視鏡検査をおすすめしています。実際、そこから大腸がんが見つかることも少なくありません。だた、腹痛の原因検索で真っ先に大腸内視鏡検査、これも間違いです。問診・診察・エコーで予想されなかった痛みの原因が見つかることはほぼありません。ポリープ・腫瘍などの検索や炎症の評価が目的です。
- 小児:約30〜50%
- 成人:約20〜40%
- 特に女性や高齢者ではさらに高率
一般的にはこの程度と言われています。実際、私の開業後の実感としては「それ以上では?」と思っています。特に小児の慢性の腹痛は便秘が非常に多いと思います。
中には便秘の自覚がない方も多く、
「下痢だと思っていた」→ 実は硬便のすき間から少量ずつ出ていただけだった
「下痢止めを飲んだら余計につらくなった」→ 便秘を悪化させていた、というケースも少なくありません。
診察時に「問診・診察上は便秘でしょうね」と説明しても、なかなか納得されないことも多く、そんなとき活躍するのが腹部エコー。
当院のエコー技師は凄腕です。便秘以外に異常はない?とエコー検査を依頼すると(すでに便秘であることは確信しているのですが)、便の貯留部位から硬さまで確認してくれます(これが“便秘エコー”の面白さ…と感じているのは、たぶん私と技師だけです(笑))。
また、大人で排便状況の急な変化や出血がある方には大腸内視鏡検査をおすすめしています。実際、そこから大腸がんが見つかることも少なくありません。だた、腹痛の原因検索で真っ先に大腸内視鏡検査、これも間違いです。問診・診察・エコーで予想されなかった痛みの原因が見つかることはほぼありません。ポリープ・腫瘍などの検索や炎症の評価が目的です。
たかが便秘、されど便秘です
最近では、便秘は単なる不快症状にとどまらず、生活の質(QOL)を下げ、健康全体にも影響する可能性があるといわれています。
「寝る・食べる・排泄する」
この3つの生理的欲求がきちんと満たされてこそ、人間は健やかに生活できるものです。
毎日の診療を通して、あらためてその大切さを実感しています。
「自分も実は便秘かも?」「大腸がんが心配」、そんな方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
「寝る・食べる・排泄する」
この3つの生理的欲求がきちんと満たされてこそ、人間は健やかに生活できるものです。
毎日の診療を通して、あらためてその大切さを実感しています。
「自分も実は便秘かも?」「大腸がんが心配」、そんな方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。